Chim↑Pom最新作品集『We Don’t Know God: Chim↑Pom 2005–2019』レビュー

Text : kohei tsurumoto

編集者の菅付雅信が代表を務め、編集者、ギャラリスト、コレクター、美術系印刷所が参加するアート専門の組合的出版社ユナイテッドヴァガボンズ。「ポケットに現代アートを。」と謳ったB6サイズのシリーズをはじめ、エレナ・エムチュック、上田義彦、片山真理の写真集などを出版してきた同出版社より、日本を代表するアーティスト集団、Chim↑Pom(チン↑ポム)の最新作品集『We Don’t Know God: Chim↑Pom 2005-2019』が刊行された。

Chim↑Pom は卯城竜太・林靖高・エリイ・岡田将孝・稲岡求・水野俊紀が、2005年に東京で結成したアーティスト集団。時代のリアルを追究し、現代社会に全力で介入したメッセージ性の強い作品を次々と発表している。去年18年11月末には、天王洲・寺田倉庫アートコンプレックスに誕生した国内最大級のギャラリー「ANOMALY」のこけら落としとなった大型展「グランドオープン」を開催。作品がニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館のパブリックコレクションに収蔵されることが決まるなど、国際的なアートシーンでの活動や認知がますます広がっている。

そんなChim↑Pomの14年に及ぶ活動を網羅した本書は、Chim↑Pom自身による詳細な解説を付し、最初期の作品から最新作まで全292ページのボリュームとなっている。特筆すべきは作品が単純な時系列に並べられているのではなく、「生の尊厳」や「超監視社会」など、テーマごとに5章にわけて収録されている点だ。分類は寄稿者のひとりであるキュレーターの窪田研二が担当。誌面上で展示を催しているかのように緻密に練られた構成となっている。他にも寄稿者には、現代美術家の会田誠、MAXXI(イタリア国立21世紀美術館)のアーティスティック・ディレクターであるホウ・ハンルー、美術評論家の椹木野衣、キュレーターのキティ・スコット、ジェイソン・ウェイト、アート専門の編集者の阿部謙一が名を連ねている。

装丁はブック・デザイナー、セプテンバー・カウボーイの吉岡秀典が担当した。バイリンガルで海外でも読まれることを視野に入れ、英文を主な素材として文字組を行う。また、会田誠の寄稿文を内容に即して2つに分け、序章と終章に置く設計が印象的であった。

本の表紙には、ワックスで紙を溶かす特殊な加工が用いられ、裏にプリントされているデザインを浮かび上がらせる手法が取られている。これは食事の際に発生する染みをイメージしたものか。見返しには工業用の用紙を採用。カバー周りの何層にも重なる設計が、まるで「スーパーラット」が生息するような都市空間の環境を、誌面にも接続しようと試みているかのようだ。質感や手触りにも拘り,本自体もアート性の高い仕上がりとなっている。

また、「グランドオープン」展に合わせて、ANOMALYとブックストア&ギャラリーのNADiff a/p/a/r/tにて行われた同書の先行予約では、予約者に500部限定で「予約手形」が発行された。予約手形の印刷はコスモテックが手掛け、約3mmもある厚手のグレー色のチップボールに箔押しやデボス加工などを加えた物質感溢れる仕上がりになっている。

We Don’t Know God: Chim↑Pom 2005–2019

We Don't Know God: Chim↑Pom 2005–2019

著者:Chim↑Pom
テキスト:会田誠、ホウ・ハンルー、椹木野衣、窪田研二、キティ・スコット、ジェイソン・ウェイト、阿部謙一
編集:阿部謙一、菅付雅信、ジョイス・ラム
ブック・デザイン:吉岡秀典(セプテンバー・カウボーイ)
印刷・製本:株式会社サンエムカラー
仕様:B5判/ハードカバー上製本/ワックス加工/箔押し/292ページ(256ページ4色/36ページ2色)
日本国内刊行日:2019年6月4日
定価:5,500円+税
ISBN 978-4-908600-03-6
販売:全国の主要書店、アートブック専門店、アマゾンなどで購入可能。国内の販売はトランスビューが販売代行。
www.transview.co.jp
発行:合同会社ユナイテッドヴァガボンズ
www.unitedvagabonds.com

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